バスラマ １４６号

２０１４年も気付けば１０月末、１年が本当にあっという間と感じる今日この頃。そんな１０月末が、最近カボチャのお化けだらけになりました。ハロウィンと聞いても、１５年くらい前まで欧米でそういった行事があるという程度の知名度でしたが、それがここまで浸透するとは。ハロウィンは八百万の神が宿る日本にはなじみやすいイベントだったのかもしれませんが、繁華街を仮装したパーティピーポーたちが大騒ぎしているのを見ると、騒げれば何でも良いのかと思ってみたり。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、ジャック・オー・ランタン。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル１４６号』です。
 
特集は「今年のバスまつり」と「最新バス機器・用品ガイド」の２本立て。どちらも１０月刊行号恒例の特集です。
「今年のバスまつり」は、９月２０日のバスの日にちなみ、各地で開催されたイベントをカラー写真を中心に紹介。

 
 
 ちなみに、掲載されたイベントで小生が出かけたのは「くまもと公共交通利用促進キャンペーン２０１４」。バスに関しては例年通り車両の展示と試乗の２本立て。展示車両は当初山江村所有のボンネットバス「マロン号」も予定されていましたが、故障で展示見送り。市営バス復刻塗装車のみと少々残念な展示となりました。
 
 レポートの掲載は３つほどありますが、ここではやはり「ＣＮＧ車から新型エアロスターへ、西武バスの超長期モニター車が交代」についてを少々。連載の「路線バス超長期実用テストレポート」で、モニター車となっていた西武バス（廃車時は西武総合企画に転籍済）のＣＮＧノンステップ車が引退。１２年７か月の運行期間を総括していますが、エンジンなど機器関係のトラブルが少なくなかったようです。ＣＮＧ車は一時期排ガス対策に効果ありともてはやされましたが、近年は導入台数も激減。掲載された整備状況の年表を見ると、激減した理由が素人でもなんとなく分かります。モニター車は「ディーゼル車のような中古業者への売却はなく、解体業者に引き取られる 」とのこと。ディーゼル車であれば移籍車として売却が期待できるだけに、導入・運行コストが高額にも関わらず・・・といった感。新しいモニター車は三菱ふそうのＭＰ３８ＦＫとなり、ＭＰのＡＴは実際のところどうなのか？リアルなレポートが非常に楽しみです。

トピックスでは、９月に小規模なマイナーチェンジを行った三菱ふそうエアロクィーン／エアロエースをごく簡単に紹介。型式も変わらなければ、外観の大きな変化も無いとなると、この扱いは仕方ないのかもしれません。

事業者訪問は今号も２事業者を掲載。「茨城交通」と「関西空港交通」で、どちらも事業者訪問初登場の事業者です。
「茨城交通」はその名の通り、茨城を代表する事業者のひとつ。今年の事業者訪問では茨城県内事業者の日立電鉄交通サービスが既に取り上げられていますので、２０１４年は茨城の年！また、茨城交通が趣味誌で取り上げられたのは、２０１２年刊行の『ＢＪハンドブックシリーズ』以来。『バスマガジン』でも同年に事業者リポートで取り上げられているので、主要３誌にコンプリートとなりました。

さて、茨城交通はバブル経済崩壊以降の経営不振で２００８年１１月に民事再生法の適用を申請しました。当初は関東鉄道による支援も致し方なしという状況でしたが、「経営共創基盤の出資により、２００９年７月に新生・茨城交通が発足 」。現在は「経営共創基盤の１００％子会社で、東北および関東地方の公共交通事業者の再建を進めるみちのりホールディングスの傘下となっており、同じく傘下企業の岩手県北自動車、福島交通、関東自動車、会津乗合自動車とはグループ会社の関係 」にあります。旧経営体制化の茨城交通は、縮小と撤退の繰り返しで、後ろ向きな施策ばかり。とにかく「金が無い」という感じでした。それが、「運賃を下げるとともに運行回数を増やすことでお客様を増やす試み 」を出来るようになるのだから、変われば変わるものです。そこまでやっても乗客が増えないのであれば、廃止もいたしかたなしです。本文では新生・茨城交通の施策を中心にまとめています。

在籍車両は移籍車も多くバラエティに富んでいるため、掲載の車両概要と車両アルバムは近年導入車メインのあっさりとしたもの。ハンドブックシリーズと被るところはバッサリという潔さです。
ここからは、このエントリ作成の為に２０１４年１０月に水戸駅周辺で記録した茨城交通の車両画像を何枚か並べていきます。



水戸２２あ１６１４．Ｕ－ＵＡ４４０ＬＳＮ（９２年車）。
茨城交通では自社発注乗合車を長らく前後扉仕様で導入。富士７ＥボディのＵＡ。



水戸２００か４０５．Ｕ－ＵＡ４４０ＬＳＮ（９２年車）。
同じく富士７ＥボディのＵＡですが、こちらは前中扉車。西武バスからの移籍車で、茨城交通では３扉車を含め多数在籍しています。

 

水戸２００か１３０４．ＫＬ－ＪＰ２５２ＮＡＮ改（００年車）。
みちのりホールディングス傘下となってからは、京王電鉄バスグループからまとまった台数の移籍車を導入。茨城交通の移籍車といえば西武バスからという時代は過去のものになるかもしれません。まずはＪＰノンステップ車で、００～０３年車があわせて１０台以上移籍しています。



水戸２００か１４２３．ＫＬ－ＨＲ１ＪＮＥＥ（０２年車）。
そして日野ＨＲ。こちらも００～０３年車が既に１５台以上移籍しており、一大勢力となりつつあります。これら１０．５ｍサイズノンステップ移籍車により、富士５Ｅボディなど古参車の代替が進みました。



水戸２２あ１８０８．Ｕ－ＬＲ３３２Ｊ（９４年車）。
続いて中型車。純正ボディのいすゞＬＲツーステップ車。大型車同様、自社発注車は前後扉仕様で導入していました。



水戸２２あ１８０９．Ｕ－ＭＫ２１８Ｊ（９４年車）。
こちらは三菱ふそうＭＫツーステップ車。茨城交通では４メーカー在籍していますが、三菱ふそう車は少数派。



水戸２００か１４０６．ＫＫ－ＲＭ２５２ＧＡＮ改（０２年車）。
京王電鉄バスグループからは１０．５ｍサイズだけでなく、スペースランナー顔のＲＭノンステップ車も移籍しています。前面に「なかのり」が無いのがポイントでしょうか。ラッピング広告対策なのか、らくがきバスにするためか、はたまたコスト削減か、一部の車両は画像のように側面帯を省略した状態で運用中です。



水戸２００か９８０．ＫＣ－ＲＭ２１１ＥＳＮ改（９６年車）。
新生・茨城交通誕生後のグループ再編により、茨城オートのバス部門を統合。車両は茨城交通に引き継がれ、ほぼ茨城オート時代と変わらない姿で運用中です。画像の車両は西武バスからのＲＭ短尺移籍車。日野車で揃えていた茨城オートですが、移籍車導入で末期はバラエティに富んでいました。
 


水戸２２あ１５６０．Ｕ－ＲＵ３ＦＴＡＢ（９２年車）。
貸切車はスーパーハイデッカー中心の高グレード車を揃えます。画像の日野初代セレガＧＪは、貸切最古参車で、現在は場外車券場送迎運用がメインの模様。

事業者訪問の２事業者目は２０１４年に創業２０年を迎えた「関西空港交通」。本文では２０年間の動きと空港輸送の現況について紹介。関西空港交通の２０年は「開港から２０００年頃まで、バス利用者数は空港利用者の伸びに合わせて順調に増えていったのですが、その後は様々な理由による航空需要の急減に振り回された歳月 」とのこと。近年はＬＣＣの関西空港就航により好調ということですが、「深夜・早朝便を運行して対応 」するなど「２４時間空港に対応した運行体制 」へと変化していることも大きな要因と言えます。本文では、空港リムジンバスの現状についてなど読み応えのある内容です。



和泉２３０い２１０１．ＰＫＧ－ＲＵ１ＥＳＡＡ（０９年車）。２０１０年７月に記録したもの。
リムジンバス運用の在籍車両は４列リヤトイレ付３本トランク車で揃えられており、半数以上が現行セレガとなっています。登録番号は、「２００３（平成１５）年購入車から希望番号を採用しており、乗合車は原則として頭２桁が元号年式表示、末尾２桁を年度ごとの連番 」、「貸切車はホテルシャトルと幼児車を除き、原則として大型車が７０００、８０００番台、セレガ９ｍ車が６０００番台、メルファが３００番台 」とのこと。リムジンバスと縁が無さそうな幼稚園送迎の仕事を専用の幼児車を用意して請け負っているとは知りませんでした。
実は小生、関西空港交通に乗車したことが無く、手持ちの関西空港交通画像も、出かけたところでたまたま撮っているもののみ。ここでは奈良で記録したものを並べておきます。

連載は、「ＡＴ搭載の最新シティバスの実力を探る」１５回目は北海道中央バスをとりあげているほか、「新 バスドライバーのひとりごと」も掲載。

次号予告は、事業者訪問がしずてつジャストライン、世界最長のガイドウェイバス、東武バスの超長期モニター車が引退、日本バス協会中央技術委員会全国大会から、バスの消臭・除菌対策、ほかとのこと。静岡に行かなくちゃ・・・。また１２月中旬に「年鑑バスラマ２０１４→２０１５」も刊行されます。
  
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車 両一覧を参照したものになります。