「僕たちの大好きな あのバスたち」

今回は１０月に販売されたばかりの、洋泉社ＭＯＯＫ『僕たちの大好きなあのバスたち』
について、感想と言う名の戯言を少々。ここ最近のエントリは感想が続きます。

この本は２月に出版された、モノコックバスや５Ｅなど昭和製のバスにこだわった『僕たち
の大好きなバス』の続編ともいうべき１冊。単純に平成編とせず、現在も路線バスで活躍
する移籍車両というかたちで９０年代初頭のバス車両を中心に紹介しています。それにし
ても移籍車両について丸々１冊特集し、しかも全国発売されるとは・・・。バス趣味人口と
間口が随分広がったと言わざるを得ません。

そして相変わらず、表紙がバスマガです。もはやお約束のようです。

今回の執筆陣もバスジャパンオールスターズを中心に、バスマガで見たことのある名前も。
バス趣味界では重鎮？の方々による執筆ですから、内容はディープ＆マニアック。小生が
拙ブログ内でチマチマ書いているようなことはこれ１冊読めば十分、こっちの商売あがったり
です（嘘）。

前半部は各地で活躍している車両の乗車記とその解説となっています。紹介されている
車両が全て移籍車両と言うところがポイント。紹介されている元事業者の車両は、東急バ
スや横浜市営バス、西武バスといった有名どころを中心に、高出力でおなじみの山陽電
鉄などが取り上げられています。それにしても、元横浜市営バスを乗車するために沖縄
まで出かけるといったあたりに、小生が言うのもなんですがほとんど病気の世界です。
やってることがほぼ同じなだけに・・・。











沖縄２００か１３３．
ただ掲載されている「沖縄バス元横浜市交通局ＭＰ一覧表」のリストにモレがあるような。
画像は抜けていると思われる８８年車。それとも引退したのでしょうか・・・。











宇都宮２００か７９２．Ｕ－ＬＶ２２４Ｋ（９４年車）。
このほか、大阪市交通局の移籍事例として関東自動車のＬＶが紹介されています。
なぜかＩＫボディの画像が全くありませんでしたが。指羽+西工の衝撃の前にはＩＫが
霞んでしまい、スルーされるのは仕方が無いのですが。

後半はマニアックさに拍車がかかります。
まずは一事業者の中古バス導入実績のながれをまとめた大作、「関鉄バス９０００番台
の系譜 １８年間２５０両の変化を追う」。神奈中古から都営、西武・・・そして京成、と関鉄
の移籍事例を紹介しています。関東自動車も京成大量導入という点を除けば、ほぼ同
様の流れですので、中古バス事情の流れを知ることが出来ます。











９２０３ＭＫ．画像は再掲の京成中古なＨＴ。Ｐ規制車。

そして「プロはここを見ている 中古バスの元事業者判別法」。プロって何？というツッコミ
を入れて欲しそうなタイトルですが、内容はバスマガの移籍車両クイズをまとめた感じ。
「譲渡バス事情の移り変わり」はワンマン推進時期の神話時代の移籍車事情から、様々
な事業者の移籍車が見られる昨今までをまとめたもの。さすがバスの歴史を扱った著書
を多数もつ鈴木文彦氏の面目躍如といった内容となっています。

このほか国際興業勤務の著者による「国際興業グループの中古車事情」や、中古バスを
販売する側のインタビュー記事など。本当に中古バスを「これでもか！」とまとめた渾身の
１冊です。インタビュー記事を読んでお前が言うなと舌打ちしたのは秘密です（謎）。
冒頭にも書きましたが、小生的にはドストライクな内容ですが、全国ベースの出版物として
よく出版したものだと思うものです。もっとも、拙ブログを「移籍車」などの検索ワードをもとに
覗きにきていただいてる方に、ぜひともおススメの１冊となっています。