バスラマ １２９号

２３日から３連休と、ある意味理想的なカレンダーとなった２０１１年。早めに対策出来た
方はきっとホーリーナイトを満喫し謳歌したことでしょう。ちなみに小生はクリスマス寒波
襲来で立ち枯れてしまいました。寒い日にわざわざ出かけても良いこと無し、こんなとき
こそ家に籠もって読書です。というわけで、月末恒例のバス雑誌の感想という名の負け
惜しみ。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル １２９号』です。

特集は「ポスト新長期排出ガス規制適合の新型車」。いすゞエルガミオと日野セレガハイ
ブリッド・メルファの３車種について開発担当者へのインタビューやバスラマ恒例の実際
にハンドルを握ってのインプレッション記事となっています。

いすゞエルガミオは厳しいポスト新長期排出ガス規制に対し「エルガで実践したダウン
サイジングを中型にも反映 」させたことから、４気筒エンジンを搭載させて登場しました。
ターボは２つということで、４気筒エンジンをバスにマッチングさせるのはなかなか難しか
ったものと推測。

セレガハイブリッドはポスト新長期排出ガス規制適合にあたり、バッテリー＋尿素ＳＣＲ
システムを採用しました。

試乗車両は１２月に開催された第４２回東京モーターショーに出品されていたので、ご
存知の方も多いのではないでしょうか。セレガハイブリッドはハイブリッド車である以
上バッテリーの交換は避けられません。バッテリー交換費用に見合うだけの燃費が得
られるのかどうかが気になるところ。試乗の燃費からすると・・・、どうなんでしょうか？
メルファは「２０１０年に三菱ふそうが中型観光車の販売を中止して以来、メルファとガ
ーラミオは事実上唯一の国産中型観光バス 」となっています。販売タイプが数年前に
整理されてから観光タイプ・送迎タイプも同じ車高のみという状況。いくら内装を観光車
のように立派にしても、申し訳程度のトランク容量では顧客ニーズに対応出来ないの
ではないのでしょうか。メルファは送迎仕様の「デラックスが最量販グレードでおよそ６
割を占め、残りを他２グレードが分け合っているという 」のも頷けます。

また、特集とは別にいすゞエルガミオ＆日野レインボーⅡと三菱ふそうエアロミディのス
ペック紹介記事も掲載。久々の自社製造モデルとなった三菱ふそうエアロミディはこれま
で通り６気筒エンジンを搭載。４気筒エンジンを搭載したエルガミオとの評価は如何に。
ただ、今回はノンステップのみの販売。ボリュームゾーンとなるであろうワンステップや
送迎タイプの発売はいつなんでしょう。

このほか「第４２回東京モーターショーの会場から」と題し、出品されたバスについて紹介
しています。











新型モデルが並ぶなか、ひときわ目を引いたボンネットバス。いすゞブースに展示され
た「スミダ」。レストアの経緯などは次号詳細掲載とのこと。




 

ヒュンダイユニバースはフロントマスクを変化させた２０１２年モデルを出品。フロントマス
ク側はバスラマを参照していただくことにして、ここではリヤ側の画像を並べておきます。

東京モーターショーのバスといえば、出品車両だけでなく豊洲駅と東京ビックサイト間で
実証運行されたハイブリッドバスも話題になりました。レポート記事の「非接触給電ハイ
ブリッドバス 改良版」として取り上げています。











局番：Ｓ－Ｗ７７７．
従来の実証運行に使用された車両ですが、今回の運行に際して内外装とも大改造。や
やハリボテなところもありましたが、未来のくるま感を大幅アップさせています。
東京都交通局が運行を担当し、いちょうマークと局番を設定しているのはさすが。

事業者訪問は２事業者を紹介。まずは千葉県の「日東交通グループ」。マイカー時代到
来以降、合理化・路線縮小・事業再建が続けられきた日東交通。記事では現在の日東
交通のバス事業それぞれの現況を紹介しています。
ローカル路線が中心の一般路線は「分離子会社への移管による合理化はほぼすべて
やり終えていますので、基本的に補助金が得られれば継続、得られなければ廃止とい
う考え 」とかなり厳しい状況に置かれていることが分かります。地域の足を守るという以
前に、もはや路線バスという形での存続は出来なところまで追いつめられている部分も
あるように感じます。その一方、東京湾アクアライン開通により運行を開始した高速バス
が「運送収入の約６割を稼ぐ屋台骨 」に大きく成長。「４０年近くにわたる苦難の時代を経
て、ようやく黒字を達成した 」とのこと。房総半島の鴨川や館山は観光地でもありますが、
ＪＲ線で行くには正直時間がかかる不便な場所だけに、都心と直結した高速バスはうまく
ニーズをとらえたのだと思います。











袖ヶ浦２００か４８３．Ｕ－ＲＵ２ＦＳＡＢ改（９５年車）。２０１０年千葉駅周辺で記録。
日東交通グループでは千葉駅発着の高速バス路線も運行。一部路線は分離子会社も
担当しています。まずは南総里見号を共同運行している館山日東交通の車両。直結冷
房で特徴的なトランク仕様から東京空港交通移籍車と推測。











袖ヶ浦２００か６７４．ＢＫＧ－ＭＳ９６ＪＰ（０９年車）。２０１０年千葉駅周辺で記録。
こちらはカピーナ号の運用に入っていた鴨川日東交通籍のエアロエース。
日東交通本体の画像が無いことに今更気付きました。

続いての訪問事業者は埼玉県をメインに事業展開している「平成エンタープライズ」。
いわゆる新免と呼ばれる新規参入事業者ですが、都市間ツアーバスのほか県内有数
の特定バス事業者の顔を持つ事業者に成長しています。事業展開が幅広く、正直全貌
がよく見えない事業者だけに、バスラマの事業者訪問は貴重かもしれません。
貴重といえば、元々レンタカーの営業類似行為による「白バス」だったことをあからさま
に紹介したのも珍しいかもしれません。もっとも、平成エンタープライズだけでなく、新規
参入事業者には元々「白バス」からの鞍替え組も少なくありません。
記事はこれまでの事業展開経緯を中心に、近年「事業収入の半分を占める大黒柱に育
って 」いるという都市間ツアーバスについて紹介。また、「新高速バス」について都市間
ツアーバス運行事業者側からの意見や持論、バス事業に対しての考えについてなど、
なかなか熱のこもったインタビューだったことが読み取れる内容となっています。

車両は特定車を中心にいわゆる中古バスが多く在籍しているため、車両アルバム掲載
車種選定は難しかったものと推測。それにしても路線バスの写真が１枚も無いのはいか
がなものかと。





















熊谷２００か９３３．Ｕ－ＬＶ３２４Ｎ（９５年車）※。
ということで、微妙な画像ですが路線バス車両を１台並べておきます。バスが来たとき
に限って車が飛び出てがっかり。それはともかく、３扉キュービックは東京ベイシティ交
通からの移籍車。営業所が定まらなかったのか、登録番号は何度か変わっています。
羽生駅とイオンモール羽生を結ぶ路線には画像のキュービック３扉車とスペースランナ
ー顔な西工ボディのＪＰが専用車として活躍しています。数年前に在籍していた成田空
港交通からのＭＰノンステップ（機械式ＡＴ）移籍車の活躍期間は短かった模様。





















熊谷２００か９９５．ＫＣ－ＲＮ２１０ＣＳＮ（９７年車）。
こちらは土呂駅とステラタウンを結ぶ無料シャトルバスをメインに活躍する特定車。
見ての通りの京王電鉄バスグループからの移籍車です。

連載のバスのカタログは「いすゞ中型リヤエンジンバス ＢＫ、ＣＣＭ、ＣＤＭシリーズ（後
編）」。このほか横浜市交通局で開催された「廃車作業立会いツアー」や、日本最長路
線バスを更新した「ライオンズエクスプレス運行開始」の話題、海外記事などをぎっちり
詰め込んだ１冊となっています。ただ、あまりに詰め込みすぎた為、事業者訪問の車両
アルバムは正直物足りませんでした。両事業者とも移籍車を導入している為、車種が非
常にバラエティに富んでいるという理由はありますが、消化不良気味で残念。まあ一昔
前のバスラマはこんな感じで、「海外記事に分量を割くなら国内記事を増やせ」の読者投
稿もしばしば・・・、そんなことも思い出しました。苦言ついでに、今号の「在籍車両一覧」
はボデーメーカー欄に抜けがあったり、明らかな型式の間違いがあったりとバスラマら
しからぬミスも目立ちました。

次号予告はスミダ１９２９年式復元記や新高速バス時代に備えてのほか、特集はバスの
安全を考えるとのこと。事業者訪問はどこになるのやら。

なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車
両一覧を参照。ただし、※部は排気ガス記号を修正しています。