細々と更新しています
先月末に更新出来なかったバス雑誌の感想と題したエントリをようやく作成。 遅れたからといっても、内容はいつものようにアレですが。これでも乏しい言語能力から ひねり出し、結構な時間をかけて作成していることをどこか心の片隅にでもとどめてほし いものです。ということで、奇数月の発売はバスマガこと『バスマガジン 53号』です。 今号では、やはりこの記事から取り上げなければなりません。「起こるべくして起こった のか!?高速ツアーバスその安全性と疑問点」。GW前半の4月29日未明に発生したツ アーバスによる死傷事故。事故の直接的な原因は運転手の居眠り運転したが、事故 現場となった高速道路施設構造などいくつかの要因が重なり多数の死傷者を出す大 惨事となりました。この事件により、これまで業界内で言われてきたツアーバスの問題 点が遅まきながら広く知れ渡ることになりました。 記事は貸切バス業界の現状やツアーバスと高速バスとの違い、670kmの算定基準、 国土交通省の対応などバス趣味誌ならではの解説でなかなか読ませる内容です。 画像は2009年に記録したもので、あくまでもツアーバスの参考画像です。 ツアーバスは路線免許によって運行している高速バスと異なり、あくまでも旅行会社が 企画したツアーの移動手段として借り上げたバスとなります。そのため、3列シート・4 列シートといったバスの仕様は選択できますが、「乗客はバス運行事業者を選択でき ない 」ことになります。そして最も問題なのが「旅行会社が安全性も担保しなければな らないのに、実態は下請け孫請けへと仕事が流れていくうちに責任の所在が不明確と なっていく 」こと。GWの超繁忙期まっただ中ですから、割に合わない安い金額の仕事 をあえて引き受ける事業者はそもそも限られたと考えられます。実際にこのツアーバス の運行をしたのはいわゆる新免と呼ばれる千葉県内の小規模な貸切事業者でした。 のちの捜査により、事故を起こした事業者は名義貸しや日雇い運転手による運行など 様々な違法行為が明らかとなりました。このような違法行為は事故を起こした事業者だ けが行っているわけでなく、貸切バス業界全体の氷山の一角ではないかと小生は考え ています。 貸切バス業界は規制緩和により事業者数が増加し、「言葉は悪いが、玉石混淆となった ことは否定できない 」状況です。規制緩和で事業者が増加しても、悪質事業者が淘汰さ れ適正な規模に戻ると言われてきましたが、ダンピングの横行で労務管理にきちんとコス トをかけているであろう老舗の大手事業者を中心に撤退・規模縮小を余儀なくされている 傾向にあります。ツアーバスはこのいびつな事業者構造を活用して、ツアー代金をそれな りに安くしても利益の出る催行をしているといっても過言ではありません。新高速バスへ の移行は責任の所在を明らかにする上でも早急に行うべきでしょう。 もちろん高速バスなら安全とかツーマンなら安全ということはけしてありませんが、拙ブ ログは「責任の所在が明確である」という1点から「ツアーバスはグレーゾーンである」とい うスタンスをとっております。意に沿わぬ方もおられると思いますが、あしからず。 なお、記事の文末には「バスマガジンとしては、この問題について引き続き徹底追及を進 めていきたい 」とのこと。次号の巻末にツアーバス会社の広告が掲載されうやむやになら ないことを願うばかりです。 特集は「鉄道代替バス現地密着取材!!」。2012年3月31日いっぱいで鉄道による運行 を終了した長野電鉄屋代線と十和田観光電鉄2路線の代替バスについて紹介。 長野電鉄屋代線の鉄道路線廃止代替バスには、運行に際して移籍車も導入しています が、「原則として専用車が使用され、ノンステップバスとワンステップバスで統一。バリア フリー対応も万全」とのこと。十和田観光電鉄代替バスも移籍車を導入していますが、 「鉄道廃止の決定が急転直下 」ということもあり、無理矢理かき集めた感は否めません。 「三沢駅舎は引き続き「バス待合所」として機能させる 」とのこと。趣深い駅舎だっただけ に小生的にこれはうれしいですね。ただ、いつまでもこのままで残るとは思えませんから なんとか再訪したいところです。画像は2002年に記録したものの再掲です。 特集2つ目は「全国で活躍する日野ポンチョ」。 熊本200か481. 全国各地の一般乗合バスやコミュニティバス、近年増えている観光周遊バス事例のほか、 珍しい送迎バスとして使用される現行ポンチョを紹介しています。画像は熊本城周遊バス 「しろめぐりん」専用車のポンチョです。 特集はページ数の関係なのか現行ポンチョのみの紹介にとどまり、正直浅い内容です。 せめてポンチョがどうして誕生したのか、どのように変化していったのか、くらいは紹介し てほしかったものです。 社番:1128.画像は2009年に記録したものを再掲。 そもそも日野の7mサイズノンステップバスはポンチョが最初ではありません。1999年 12月から販売を開始した中型幅ノンステップバスのHR、販売当初は7mサイズもライン ナップにありました。ただ7mサイズとはいえ、リエッセなどのマイクロバスサイズと比べ、 大きいことや重量、そして高額な販売金額(メーカー側からするとそれでも割に合わない) から2004年の新短期排出ガス規制に適合せず販売を終了しました。 社番:A3-980.2008年に記録。 一方で2000年前後は自治体主導のコミュニティバス運行が花盛りな状況。車幅2m・ 車長7mサイズのノンステップバスの需要が高まりました。そこに商機を見出したのが クセニッツやオムニノバなどの輸入車。フロントエンジン前輪駆動のシャーシを生かし、 ノンステップを実現しました。前例踏襲をモットーとしながら他所とは差をつけたい役人 心を見事につかみました。画像は西武バスが運行を担当した小平市の「にじバス」用に 導入したクセニッツ。 社番:J20.2010年に記録したものを再掲。 日野も指をくわえて見ているわけにはいかなかったのでしょう、対抗モデルとしてプジョ ーのエンジンを搭載した初代のポンチョが2002年春に誕生しました。輸入車が様々な トラブル・アフターサービスの悪さから評判を落としていたことから、国産ボディ+国内 ディーラーが責任を持って販売するという点が評価されシェアを獲得しました。画像は立 川市コミュニティバス「くるりん」専用車として登場した初代ポンチョ。 さて、記事では現行ポンチョ導入の経緯として、「日野ポンチョしかなかった 」と答えると ありますが、現在の販売モデルからすれば当然な答えです。しかし、このサイズでリヤ エンジンノンステップバスはポンチョだけだったわけではありません。 社番:4301.2010年に記録したものを再掲。 三菱ふそうが2002年4月から販売を開始したME。コミュニティバスにも使えるノンステッ プバスの真打登場となるかと思いきや、例のリコール騒動から採用は低迷。現行ポンチョ 登場後も販売は続けられましたが、2007年ひっそりと姿を消しました。 社番:A8-312.2008年に記録。 こうしてポンチョだけが残り、先ほど並べたクセニッツなど輸入車の代替として導入される ようにもなりました。対抗車種が無いことから、コミュニティバスなどで導入する際に高額 な購入金額をめぐり議会で取り上げられることも少なくないようですが・・・。バスマガジン でポンチョをまた特集する機会があれば、このあたりをもう少し詳しく紹介すれば資料的 価値も高まるのではないでしょうか。 白黒頁掲載の「今春、公営から民営へ路線移譲された 苫小牧市、明石市、呉市 路線バ ス現状レポート」は前号のお名残り記事をフォローした内容。民間移譲で結局どうなったの か?利用者からすれば一番大事なところを簡潔にまとめており、こちらは資料的な価値あ るレポートです。 苫小牧市交通部は道南バスに移譲されたことにより、道南バス郊外線や札幌への高速バ スが立派な市営バスターミナルに移動。1ヶ所に集約したことで利便性が向上しました。 ただし、あつまバスは旧来の乗り場を使用。使用料金交渉がまとまらなかったのでしょうか。 市営バス移譲路線は原則旧市営バス引継車で運行しています。 車番:313.2010年に記録したものを再掲。 社番:874. 変わったところといえば、社名表示と社番が変わったことくらいでしょうか。道南バスでは 市営バス引継ぎ車に800番台の社番を付番しています。ちなみに800番台の社番は 2001年刊行の『バスラマインターナショナル66号』によれば、もともと登別方面の路線車 に付番していたとのこと。道南バス発行のパンフレット等にも「しばらくの間バスの色は変 わりません。(社名表示は道南バスに変わります)」と明言しています。画像からお分かり のように、この感想めいたエントリ作成が遅れたのは苫小牧に行っていたからです。今回 記録した画像は次号のバスラマ感想にも使いまわす予定です。 一方で呉市交通局を引き継いだ広島電鉄は自社標準塗装への塗り替えを急ピッチで進 めている模様。記事によれば9月から広島電鉄カラーに統一する予定とのこと。 バス会社潜入レポートは鹿児島県の「いわさきグループ・バス事業」。大特集といえるボ リュームで鹿児島交通、いわさきバスネットワーク、三州自動車、種子島・屋久島交通 などグループ各社を紹介しています。もはやどうかしているレベルになっている対市営 バス競合の施策については、やんわりと持ち上げて紹介しているところに苦心の跡が見 られます。めまぐるしい事業者統合などについてもきちんとまとめており、規模の割りに 全貌がよく分からないイメージのある「いわさきグループ」を詳しく解説した力作です。 所有車両の紹介も充実。移籍車導入により車種・仕様が激増した在籍車両をかなり細 かく紹介しています。面白いのは「カラーリング」の紹介もあるところで、旧林田バスカラ ーや一時期採用した巨大ヤシの木カラーといったものだけではなく、「グループ広告車・ 自社広告車」も掲載しています。 鹿児島200か428.KL-LV774R2(04年車)。2011年に記録したものを再掲。 画像の高速バスに貼られた「霧島いわさきホテル」の広告車なんかも勿論掲載済。それに しても、この広告べた張りのセンスは・・・。 当然「自社のメッセージを掲示!」と題して、このスローガン広告も掲載あり。 残念ながら後面の「官」より「民」ですスローガンは掲載無し。どうせならパンチの効いた こちら側を掲載してほしかったものです。かなり充実した在籍車両紹介ですが、「整備や 運用上の都合などで撮影、掲載できなかった車両があります 」とのこと。 鹿児島200か761.U-MP218M改(95年車)。2011年に記録したものを再掲。 小生手持ちの画像の中で掲載写真の無い特徴的な車両と言えば、画像のMPくらいで しょうか。中扉のニューステップを改造し、特異な外観となっています。 そういえば、京成バスから購入した連接バスはどうなったのでしょうか。まったく音沙汰 がありません。 事業者別におおむね1年の話題を振り返る「Things happened in a year」は東京都 交通局。2010年春以降の話題や車両の動きを中心に紹介しています。 車号:D-V338.LKG-MP37FK(10年車)。 「三菱ふそうはディーゼル車に限ればL代(03年度)以来と久々の導入 」となったMPノ ンステップバス。10・11年度と続けて落札しており、これまでの空白期間を取り戻す戦 略価格を提示しているのかもしれません。 車号:S-E437.KC-HU2MLCA(98年車)。2010年に記録。 「12年4月の時点でノンステップ率は99%となり、斜めのラインが特徴的な標準塗装車 も風前の灯 」とのこと。過渡的な仕様ともいえる「らくらくステップ」を採用した画像の車両 も2011年12月に廃車されています。 休載を含めると結構な数の連載が存在するバスマガジンに、今号から新たに2つの連載 がスタート。まずは「東日本大震災の被災地で活躍するバスを追う」と題した短期集中連 載。第1回は津波で甚大な被害を受けた岩手県大槌町の事業者を紹介しています。 そして「バスマガ調査隊が行く!!」。前号のジェイ・バス宇都宮工場訪問記事が好評だった のか、オスカープロモーション所属のモデルさんをまじえた気楽に読める連載もスタートし ています。 路線バス全方位レポートは「鳥取県」。掲載事業者は戦時統合で誕生した日の丸自動車 と、戦後参入した旧称「沢タクシー」こと日本交通の2事業者グループのみ。廃止代替の 町営・村営バスは青ナンバーでないのか少々気になりますが、奈良県・宮崎県と並び事 業者数の少ない県とは知りませんでした。 鳥取200か234. 画像は2008年に米子駅前で記録した日の丸自動車の中型車。日の丸自動車の路線車 塗装は日野スケルトンバスのカタログカラーを採用しています。 今号は力作となったバス会社潜入レポートにページを割いたこともあり、「乗降ドアの変 遷」や「全国バスターミナル探訪」、「今号の気になりバス事業者」、「事業者間移籍車話 題の広場」のほか、もうそろそろ旬が過ぎた感のある「さようなら、エアロキング」「西日本 車体工業歴代バスボディ徹底解説」などが休載となっています。 次号予告は「改良して新発売された日野のバスシリーズ詳細レポート!」と、「関東か ら姿を消しつつある富士ボディに注目!」ほかとなっています。後者は「関東から姿を 消しつつある」と地域を限定した特集で、おそらく首都圏事業者を中心に取り上げるも のと推測。なにも某グラフィックが得意とするような分野にガチを仕掛けなくても・・・。 おそらく7Eボディなどの一般乗合車が中心の構成となるのでしょうが、 社番:647-00255R5.2011年に記録したものを再掲。 画像の7HDボディやヘリコプターと評される7Sボディなどの観光タイプも数を減らして いますのでお忘れなく。とりあえず城南地域の事業者以外をしっかり紹介してくれれば 良いですと低いハードルを提示しておきます。 なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車 両一覧を参照したものになります。 PR |
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