バス大異変！

Ｑ５１．掲載事業者に偏りが見られるのは担当者の趣味ですか？
そんなＱ＆Ａがあれば買ったんですけどね。何の話をしているのかあえて書きませんが。

今回は経済誌の『東洋経済』で特集された「知られざる公共交通の実像 バス大異変！
タクシー＆客船」についての感想を少々。バスに関する書籍に飽き足らず、バスに関す
るものなら何でもブログに書くシリーズとなった感。

表紙はバスコレクションを中心としたミニチュアモデルを並べたもの。シークレットの北
村ボディ関東バス３扉に気をとられてしまうのが小生の残念なところ。タイトルにはタク
シー＆客船とありますが、ほぼバスについてページが割かれています。
特集は根底に「乗合バス事業を取り巻く環境は極めて厳しい 」というテーマを設定して
いるようで、それに沿ったルポ・レポートが並びます。ここではいくつか気になった記事に
ついて少々書いていきます。

まず気になる記事といえば、「路線バスＶＳツアーバス 「高速バス」変革の舞台裏」と題
した定番の内容。こういった記事ではお馴染みのウィラートラベル社長の強気コメントも
そこかしこに登場。様々なメリットやマーケット戦略など語っていますが、それはツアーバ
スが道路運送法に規定されないからこそ出来る機動性ということを忘れてはいけません。











趣味誌やネットも以前はツアーバスに厳しいことを書いていたところもありましたが、今で
は様々な調略によって過激な論調も少なくなった感。乗る方からすれば、路線バスでもツ
アーバスでも関係ないのでしょう。主要ターミナルやテーマパークなど高速バスよりも、各
地からのツアーバスの方がひっきりなしに到着しています。新宿駅西口周辺で見かけた
何台かを並べておきます。





















湘南２００か１２３８．
記録できた現代ユニバースは相変わらずこの事業者のみ。杉崎観光の車両でオリオン
ツアーの専属車。











大分２３０あ６６６．
オリオンツアーつながりでこんな車両も。天領観光のエアロクイーン。

ツアーバスの様々なサービスを紹介した記事に続くのは「運転手の過酷な労働実態」と
題した影の部分。恣意的な構成です。安さの裏に潜む「しわ寄せ」とも言うべき内容に、
かつて放送されたＮＨＫスペシャル「高速ツアーバス 格安競争の裏で」を思い出しました。

経済誌らしい経営についての記事もいくつかあり、「急増するＭ＆Ａの裏側」もその１つ。
近年ファンドによる買収事例がいくつかありますが、買収するメリットがあるのか？正直な
ところ「狙い」がよく分からないだけに、１つの回答ともいうべき内容。記事ではファンドに
対してやや悪意をもった伝え方をしていますが、みちのりＨＤが高速バス・貸切バス・一般
乗合バスを分けた理由も売却しやすくするためと考えれば納得できます。もちろん、地域
のしがらみにがんじがらめで動きがとれないバス事業者に対して、ファンドだからこそ出来
るリストラも多くあるのも事実。記事の締めくくりにあるように、ファンドによるＭ＆Ａについ
ては、もう少し経過を見ていく必要がありそうです。

「全国バス会社収支実態」と題した乗合バス３０台以上保有する事業者の売上高・当期利
益をまとめたというデータも掲載。ただし、収支データに関してはバス事業のみと書いてな
いことから、これだけで〇〇社は黒字路線が多いと考えるのは乱暴です。

この他、「最強バス会社の苦悩」と題した日本最大のバス保有事業者である西日本鉄道
の記事や、はとバスの話題やコミュニティバスなど様々な話題を取り上げています。多少
のメディアリテラシーは必要ですが、現在のバス事業をとりまく話題をまとめた１冊です。

画像は参考ということで。










社番：５８３２．ＫＬ－ＵＡ４５２ＭＡＮ（０３年車）。











社番：０９２．はとバスのセレガハイブリッド。

それにしても経済誌でバスを特集する時代になるとは思いませんでした。経済誌もニッチ
なところを取り上げなければ、他誌やネットと差別化できないのでしょう。バス事業に関し
て知らない（興味ない）方を対象にしているため、センセーショナルな書き方の記事も多く
あり、詳しい方からすれば「それなり」ともいえる内容です。ただバス趣味・専門誌に比べ
ると広告主のメーカーやバス事業者を考慮しなくても良いこともあり、「法定速度で間に合
わない疲労感強いツアー日程 」や「トラックに続き、バスでも存在感を示せないのがＵＤ
トラックス 」など容赦無いストレートな表現も多く見られ、読み物としては面白いものにな
っています。拙ブログをマメにチェックする方には一読する価値があるのではないかと思
います。

なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分になります。