バスラマ １２５号

計画停電はとりあえず終了しましたが、夏はどうなるのか分かりません。そもそも夏に
限らず、根本的に電力不足の状況が解決したわけではない状況。ヤフーのトップペー
ジの電力供給を見る生活がこれからも続くことになるのでしょう。
月１２回の更新をノルマにやってきた拙ブログですが、東日本大震災後は節電を意識し
た更新を心がけています。それでも今月の更新回数は１１回というのだから、掛け声倒
れという気もしなくもありません。ということで、月末恒例バス雑誌の感想と言う名の発
言にブレ。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル１２５号』です。

「東日本大震災に伴うバス業界の動き」について、速報という形で４月８日現在の東北３
県の一般路線バスの状況等とあわせて紹介しています。現在は被災地支援としてバス
を寄贈するといった動きや、観光客激減のため貸切事業者の廃業、新車納入の遅れと、
東日本大震災に関連するニュースは様々です。次号以降も動きをまとめたものが必要
になりそうです。

さて、今号も特集は無くいくつかのレポートを掲載。ここでは小生的に興味深い内容の
「リニューアルされた「新宿ＷＥバス」についてのみ簡単に紹介。
京王バス東が運行を担当している「新宿ＷＥバス」。新宿駅を起点に西側の都庁を中心
とした新都心と、東側の歌舞伎町などを結ぶ循環バスとして２００９年９月から運行を開
始しました。











天窓を装備した特別仕様のＫＲノンステップ専用車を導入するなど、運行開始にあたり
京王グループ全体で力を随分入れたものでした。しかし利用状況は本文にもあるように
低迷し、乗客ゼロでぐるぐる回っているということも珍しくありませんでした。正確なカウ
ントではないとしながら、「アンケート調査などのデータから拾うと１日の平均利用者数
は約２００人 」とのこと。運賃は１００円ですから、あれだけ走っていて１日の売り上げ
２万円とは・・・。むしろ２００人も利用者がいたことの方が驚きかもしれません。そもそも
路線距離の割りに時間がかかるダイヤで、ゆっくり走るわりに時間調整頻発と、利用す
る気にならない循環バスでした。

記事を読んで驚いたのが、計画を主導した新宿区に「目標人員は考えていない 」と他人
事なこと。役所としてはトップが考えたことをやり続けていることに意義があるのでしょう。
さすがに京王側も利用状況を鑑みて、今年の２月１日より東側を新宿御苑経由に変更し
運行時間帯も含めたリニューアルを行いました。





















社番：Ａ２０９２３．
「新宿ＷＥバス」の運行事業者選定にあたり、京王グループは「バスそのものを移動手
段だけでなく、乗客に対するメディア広告として活用する 」ことも提案していたようです。
しかし、現在運行している車両のほとんどは京王グループ。画像のように広告の無い
車両も運行している厳しい現実。











社番：Ａ４９８１６．
「新宿ＷＥバス」の抜本的な見直しをするのであれば、「新都心循環」を含めた再編も必
要ではないかと思ったり。画像は「新都心循環」専用車だったＵＡノンステ、最近見ない
のでとうとう代替されたのでしょうか。
取材している関係から、事業者寄りの結論となることが多いバスラマですが、このレポー
トでは久々に厳しい論調です。文末の「小規模需要のバスサービス 」への問題提起は
全国各地のバスを見ているからこその意見でしょう。

このほか、岐阜乗合自動車の「清流ライナー」の運行開始の風景など、前号で紹介した
連接バス関連レポートの補足もあります。気になる「いわさきグループ」で運行予定の京
成バス移籍車のボルボは「道路管理者などとの調整に時間を要しているとのこと 」。
調整に時間がかかるのは初めから分かること、ある程度目途がつくまでこっそりしてお
けば良いものを。いかにも「いわさき」らしいといえばらしいのですが・・・。

事業者訪問の１社目は西武グループの「近江鉄道・湖国バス」。滋賀県の事業者訪問は
初めてのはずです。掲載の路線概要を見ると、思っていた以上に路線エリアが広いこと
を知りました。
ここ数年貸切事業は厳しかったようですが、大河ドラマの主要舞台ということもあり観光
需要は高まるはず。しかし、東日本大震災の影響が滋賀県でも出ているとのこと。日本
全国で見るとどれだけの影響が出ているのかもはや予測できません。

さて、小生が近江鉄道を訪ねたのは２００７年のみ。ということで、画像は再掲になりますが
いくつか並べておきます。











滋賀２００か５８３．Ｕ－ＵＡ４４０ＬＳＮ（９５年車）。
記録時点で西武バスからやってきたばかりだったグループ間移籍車。現在はＫＣ規制の
移籍車も多く、特注短尺仕様車も在籍しているとの事。ノンステップバスとツーステップ車
でレオマークが微妙に違います。











滋賀２２き６７５．Ｐ－ＲＭ８１Ｇ（８８年車）。
リストを見ると、画像の西武バス６Ｅ移籍車が湖国バスでまだ現役のようです。西武バス
の中型車は限られた路線でしか活躍していなかった頃の車両です。

事業者訪問２社目は立川バス・シティバス立川」。
こちらは小生居住エリアから近いこともあり、馴染みのある事業者です。多摩都市モノレ
ール開通後の事業再建と近年の施策についてが中心です。近年のヒットといえば、リラッ
クマバスでしょう。５月に３色目が登場する予定と、良好な関係を築いている模様。
貸切事業は規制緩和の影響から以前から縮小していましたが、リフト車による養護学校
特定輸送も終了していたとは知りませんでした。養護学校の特定バスにも、いわゆる新
免系の貸切事業者の台頭と入札方式の関係で、業界勢力図も大きく変化している印象。

在籍車両の写真も豊富で、全体をほぼ網羅しています。











社番：Ｊ７３０．ＫＬ－ＬＶ２８０Ｌ１改（０４年車）。
現在前面にもキャラクター満載となったリラックマバス。過渡的な姿の掲載写真は貴重な
資料になりそうです。











社番：Ｊ９２１．ＫＬ－ＭＰ３７ＪＫ（０２年車）。
ＫＬ規制の導入初期車に見られる中扉グライドスライドドア仕様。掲載写真の無かった
仕様の画像を並べておきます。











社番：Ｊ７００．ＫＣ－ＬＶ３８０Ｌ（９６年車）。
マニアとしては、排ガス対策装置を装着し活躍を続けるツーステップ車が気になるところ。
収容力を生かしてラッシュ時や本文にもある国立駅からけやき台団地への路線で活躍
中です。関東バスの３扉車が全車廃車されると、都内（島嶼部を除く）でツーステップ車
が残るのは立川バスか西東京バスかということになりそうです。しかし「数年のうちに引
退を予定 」しているとのことで、活躍の時間はそれほど長く無さそうです。











社番：Ｍ９１１．ＫＣ－ＭＰ３１７Ｍ（９９年車）。
上水営業所のツーステップ車が排ガス対策装置を取り付けて車検を継続取得している
一方で、それ以外の営業所の車両は代替を行う模様。画像のＭ９１１は５月７・８日に「さ
よなら運転」を行うとの事。「さよなら運転」を行うなど、近年立川バスはファン向けのイベ
ントに熱心。良い関係が続けられるようファン側も節度を守っていきたいものです。
過去の車両を紹介した「立川バスアーカイブス」は年鑑バスラマで関東バス３扉車特集
執筆者と同じ方の手によるもので、かなり充実しています。イベント輸送のため活躍した
小田急バス移籍車などマニアックなものも掲載。あとは立川バスの黒歴史ともいえる、
有名漫画キャラクターを無断使用した観光車があれば完璧という内容です。

連載のバスのカタログは「三菱ふそう大型リヤエンジンバスＭＲ４００シリーズ（中編）」。
フロントに「ＴＢＫ」の社紋？が付いた東洋バスＭＲ５１０の掲載写真で小生的に今号の
モトはとった感。

「ＡＴ搭載の最新シティバスの実力を探る 名鉄バスの場合」。今号も三菱ふそうＭＰの状
況について採用事業者の車両担当者を中心にドライバーや整備担当者などから使用所
感等々をまとめています。前号の東京都交通局では明らかにされなかった燃費ですが、
３％程度の悪化ということですから合格点でしょう。ただ、「使い勝手の面ではさらに改善
の余地があることも指摘 」とのことですが、具体的な項目が書かれていない点が不満。

今号も事業者訪問２社で両社ともボリュームある内容、また４月発売号恒例となった「ス
ーパーハイデッカー・低公害バス」と「ノンステップバス」の採用実績も掲載されており、充
実した１冊となっています。

次号予告は、特集が「続・長時間のバス移動を快適に」、事業者訪問が「規模は小さくても
元気なバス事業者訪問」とのことで、今までとは多少毛色の異なる内容となるのでしょうか。
ただ、元気なバス事業者が思いつきません。

なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車
両一覧を参照したものになります。