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バスに関する書籍を買ったら感想めいたものをブログに書く、頼まれたわけでもないのに続けている拙ブログの長寿シリーズです。今回はバス関連雑誌に新規参入となるのか?5月下旬に笠倉出版から刊行された『SAKURA MOOK03 BUS Life Vol.1』についてです。刊行からだいぶ経ちましたが、せっかくなのでお付き合いのほどを。

ライフバス 

この『BUS Life』は『バスマガジン』を68号まで担当していたスタッフによる編集となっており、誌面の造りがバスマガジンそっくりとなっています。わざわざバスマガジンと似た書籍を同じタイミングで別の出版社から出すあたりに、バスマガジンの編集体制変更が円満でなかったことを実感します。なお、画像は本文とまったく関係がないライフバスのいすゞLRを右斜め後ろから。ライフバスは埼玉県三芳町を中心に路線網を展開しているバス事業者です。
 
巻頭は「今月の1台」。文字通り1台のバスの前後左右を撮影したものという、なんだかお気軽なコーナー。内容はさておき、ひっかかるのが「今月の」という部分。さすがに月刊を考えているとは思えませんし、事実6月の刊行はありませんでしたので、単に据わりの良いタイトルをつけただけということなんでしょう。ちなみに、今回「今月の1台」で取り上げられた車両は川崎鶴見臨港バスに登場した「川崎スマートEVバス」。もちろん写真の掲載だけで終了というわけではなく、車両の詳細については誌面の後半で紹介しています。

 

社番:1H514.SDG-LR290J1改(15年車)。2015年6月に記録。
川崎スマートEVバスはいすゞLRノンステップバスをベースに、東芝製EVユニットを搭載した電気バスです。運用は川崎市交通局と共同運行の川崎病院線となっており、「臨港バスが担当する21往復中の15往復 」を担当。川崎病院線は短距離循環路線にもかかわらず、「5往復ごとに営業所に設置された急速充電装置で1日3回充電を行うダイヤが組まれている 」とのことですから、ディーゼル車に比べるとかなり効率が悪い印象。




『BUS Life』では、特集と銘打ったものはありませんが、比較的頁数を割いているのが「バスのバリアフリー時代を築いた 初期型KC-代ノンステップバス徹底ガイド」。国内4メーカーが販売していたKC規制車のノンステップバスをそれぞれ紹介するとともに、日本各地で現在も運行中の車両をアルバム形式でまとめています。

 

熊本200か34.2015年5月に記録。
UAノンステップ車の例として取り上げられていたのが九州産交バスですが、KC規制車のノンステップバスはほかに、三菱ふそうMPノンステップ車も生え抜き車・移籍車それぞれ在籍しています。生え抜き車両はカラフルなイラストを多用したオリジナル塗装で、デンソー冷房を装備しています。



熊本200か929.2015年5月に記録。
移籍車は三菱重工冷房を装備しているため、屋根上の機器形状が異なります。画像の車両は小田急バスからの移籍車で、中扉はグライドスライドドアとなっています。このほか京浜急行バスグループからの移籍車も在籍しています。



熊本200か32.2011年4月に記録。



熊本200か32.2011年4月に記録。
ちなみに九州産交バスでは、KC規制車の日野といすゞのノンステップ車も在籍していました。国内4メーカーのノンステップ車を連番で登録しましたが、日野・いすゞ車どちらも数年前に引退済み。ATの初期型ノンステップ車はAT関連の修理に手を焼いている模様。KC規制車のノンステップバスは導入から15年以上経過していることから、今後あっという間に姿を消していくのかもしれません。

 

京都200か2481.2015年5月に記録。
ノンステップバスといえば前中扉が標準的な仕様ですが、KC規制車では3扉車も製造されました。画像の車両はもともと神戸市交通局が導入した3扉仕様のUAノンステップ車。神戸市交通局は当時前後扉仕様が標準だったので、前後扉+車椅子用の中扉という考え方だったようです。後扉はフルフラット仕様なので、通路の確保は出来ていますが座席の設置にかなり苦労した感。かなりのキワモノ車ながら、プリンセスラインこと京都急行バスに日野車ともども移籍したのには驚きました。

続いては、「この春、日本を代表する2つのバスターミナル 熊本交通センターと那覇バスターミナルが変わる 再開発計画スタート!!」。再開発工事開始により年内に姿を消す熊本交通センターと那覇バスターミナルの施設紹介だけでなく、創業時の写真や再開発後の計画も掲載。見て分かりやすい内容となっていますが、現地を知っていればより深く楽しめると思います。



熊本交通センターは行先方面別に分かれたA・B・Cホームとボウリング場下の降車・貸切バス乗降ホームからなるバスターミナル。「熊本交通センターの特徴は周辺の付帯施設が一体となって機能している点 」で、百貨店・ホテル・ボウリング場・オフィスビル・立体駐車場、そして「泉の~広場で~♪」でおなじみだった地下街のセンタープラザという熊本県内有数の商業施設となっていました。施設は段階的に閉店しており、「今年の夏ころをめどにバスターミナル部分も閉鎖される予定 」とのこと。「スーパーノンストップ特急 福岡行き、ひのくに号は5番乗り場にて御乗車ください」など、独特なイントネーションの高速バス発車アナウンスもまもなく聞き納めとなりそうです。
再開発後のバスターミナルは、「これまでの6面構造から1面2線の直線、島式構造となる。バスとのりばの間にはガラスのホーム扉が設置される予定 」とのこと。路線再編を考慮したのか随分とコンパクトになるようですが、はたしてどうなるのでしょうか。

 

沖縄の那覇バスターミナルは1978年7月30日の交通方法変更にともない改修されましたが、「今年4月5日の最終便到着をもって閉鎖 」され、再開発工事開始を待つばかりとなっています。フラップボード式の発車案内装置は1台だけでも新ターミナルで保存展示されてほしいものです。

このほか、日産ディーゼルが1990年代に販売していた2階建てバス「ヨンケーレ・モナコ」の話題のほか、「バス・マイスターへの道」と題した路線バスの前乗りまえ払いなど運賃支払方式をモデルさんを交えて紹介した記事、そして「観光バス定点観測」と「未生線・短絡線乗り継ぎの旅」というかつてバスマガジンで掲載していたような記事もあります。

続刊の発表は明らかになっていない『BUS Life』ですが、連載と銘打った企画は存在しています。バス事業者を詳しく取り上げる「The バス会社」は関東バスを紹介。特徴的な路線を紹介した「おすすめバス路線」と目新しい記事もありますが、近年のトピックや写真を中心にした在籍車両紹介など基本的な構成はバスマガジンのバス会社潜入レポートと非常に似ています。
基本的な構成が似ているということで、本エントリでも小生手持ちの関東バスの車両画像をいくつか並べていきます。



社番:A1230.PKG-RA274KAN(08年車)。2015年6月に記録。
まずは現在の主力車種といえる西工ボディのRAノンステップ車。画像の08年導入車から、「前面の「Non Step Bus」ロゴから関東バス伝統の社紋が復活したほか、リアコンビネーションランプを汎用型に変更、後部ナンバー台座簡素化、後部乗降中表示に車椅子マーク追加など仕様変更が見られた 」とのこと。また、「2015年2月より「かんにゃん。ステッカー」が車両の前面上部に貼り付けられ 」ています。



社番:C2205.PKG-AA274KAN(08年車)。2015年6月に記録。
さきほど並べた画像と同じ西工ボディのノンステップ車ですが、こちらは三菱ふそうOEM車となるAA。ちなみに07年導入のC2201号車が三菱ふそうAAの市販1号車となっています。



社番:A1600.PKG-KV234L2(10年車)。2015年6月に記録。
画像の1台のみ在籍する日野KVワンステップ車。関東バスでは社番をメーカーごとに決まった頭数字で付番し日野車は基本的に「7」となっていましたが、画像の車両は「1」。いろんな意味で異端的な存在です。



社番:D705.KK-HR1JKEE(02年車)。2015年6月に記録。
丸山営業所に在籍する日野HR9m車。導入は7台ともともと少なく、「現在は4台が除籍となり、残るは3台 」。関東バスからの型式消滅も近そうです。

『BUS Life』の連載企画ではこのほか、「バス用語辞典」や「バスコレ改造工作法」といったものや、例のバスマガジン編集体制一新の際に終了した連載の移籍組となる「一時代前のバスグラフィックス」や「ようこそバスガイドさん」といったものもあります。

『BUS Life』は、さすが長年バスマガジンを編集してきたスタッフによる制作なので、見事なまでに『バスマガジン』そっくりな1冊となっています。旧編集体制のバスマガジンに見慣れてきた者からすると、現在の何か物足りないバスマガジンよりも読み応えがあったというのが正直な感想です。
例えば「NEWS FLASH」という最近のトピックスをまとめたコーナーに岩国市交通局を引き継いだ「いわくにバス」社長へのインタビュー記事が掲載されていますが、記事にあわせて「いわくにバス」の保有車両一覧表も掲載しています。こういうバスマニア目線な記事の造りかたが今のバスマガジンにありません。まあ、ここでバスマガジンについてあれこれ書いても仕方ないのですが。『BUS Life』を編集するプロダクションの公式ブログによれば、10月中旬にVol.2を出版し、以後偶数月の刊行予定とのこと。バス趣味誌に新規参入したものの疲弊して共倒れというバス業界と同じようにならないよう願うばかりです。

なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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